Unce Upon a Time...

イギリスの田舎暮らし、バイリンガル育児、イギリス英語についてお届けします

海外田舎暮らしを3年半して思ったこと

photo of running white sheep

 

日本を出てからもうすぐ3年半になることに気がついた。

アメリカの田舎に約2年、イギリスの田舎に約1年半である。私のブログは「海外」「暮らし」「田舎」などのキーワード検索でたどりついてくれる人たちが多い。

そこで今日は、海外田舎暮らしを3年半して思ったことについて主婦目線でまとめてみたい。

 

 

1.物価が安い

当然ながら都会に比べると田舎は物価が安い

特に大きな差が出るのは住宅コストだろう。駐在で来る人には関係ないのだろうが、私たちのように自力で家賃を払わないといけない場合はこれだけで田舎に住むことがかなり魅力的になる。

 

また、生活コスト全般についても都会に比べると下がる。しかし、これは家賃のように同じようなものでも安く手に入る、という類のものではなく、単に田舎には「いいもの」が少ないため結果として出費が減るというものである。

ここでいう「いいもの」とは、例えばちょっといい(高い)レストラン、子供のお稽古ごと、エステ、ジム、服、食品などである。都会に住んでいるとこれらのチョイスが非常に多いため、プチ贅沢などといってついついお金を使ってしまうということが起こりうる。田舎ではあまりそういうことがない。

 

ちなみに余談だが、食文化に関しては都会の方が豊かだと思う。

田舎に住んでいると新鮮な野菜などは意外と手に入りにくく、結局大手スーパーで買うので都会とあまり変わらない。農家さんの直販のお店などもあるが、そこまで車を飛ばして週に何度も行くのは現実的でないし、ファーマーズマーケットも町の中心に夏季はあるのだがいまいち盛り上がっていない。

やはりファーマーズマーケットなどは、都会で開催する方が来場者も多いので農家側もメリットが多いのだと思う。またレストランの数や種類の圧倒的な差が都会と田舎にはある。都会にはたくさんいる食に対してこだわりのある層が田舎には少なく、また日本のようにわかりやすい各地の名産、名物があるわけでもない。よって日本でよくあるような、観光客向けに開発された地元の食材を使ったちょっと高価な食品類などもあまりない。しかしそれゆえ余計な出費(?)も少なくてすむというわけである。

 

2.いつまでたっても外国人扱い

これは日本でも同じだが、田舎には外国人が少ない。逆に、都会には多様な人々が集まってくる。国にもよるが、日系人の数も都会では田舎よりずっと多い。そのため都会であれば、数年住めばローカルだとみなしてもらえることも多い。しかし田舎では何年たっても特別扱いである。

 

これは日本国内レベルでも同じことがいえると思う。

東京には全国からたくさんの人たちが進学や就職で集まってくる。ある程度の期間を東京で暮らしていると、自分でも東京がなじんでくるとともに、まわりからも「東京の人」みられるようになる。地元へ帰省したときだけ方言を話してキャラクターも少し変わるなど、2つのアイデンティティを持つようになる人も多いかもしれない。

一方、東京から田舎へ移住した人は、同じように地元の人からローカル認定してもらえるまではもっと長い時間がかかるはずだ。

 

長く住んでいても外国人として特別扱いされることはなにも悪い面ばかりではない。ある意味刺激に飢えている田舎の人たちの中には、外国から来たいうだけで興味をもってくれ、 会話が始まることも多い。そこから友人ができることだってある。外国人であふれている都会であればそういうわけにはいかない。

 

3.移動は車が基本

日本のように電車やバスのルートがすみずみまで張り巡らされている田舎は海外には少ない。特にアメリカの田舎は人間が歩くように道が設計されていないので、ちょっと家の近くを散歩、ということがあまりできなかった。歩道のない車道ばかりである。

 

私は日本では長年ペーパードライバーだったので、最初は(というか今でも)かなりびびりながら運転ではあったものの、夫や友人に車を出してもらわずとも自分の力で移動できるようになっただけで精神的にかなりポジティブになれた

主婦で通勤や通学で車を使う予定のない人でも、海外の田舎に行くなら運転免許は必須だと思う。

 

また、ちょっと運転すれば人間の手のついていない豊かな自然に気軽にふれられるのはとてもよい。海外の田舎にきてドライブの楽しみというものを初めて知った気がする。

 

ご参考↓ 

kamemari.hatenablog.com

 

4.その国のリアルがみられる

 田舎での生活とそこで会う人たちはまさにその国のリアルである。

例えばアメリカでいうと、東西のコーストに住んでいるホワイトカラーのアメリカ人(その多くは民主党支持者)ではなく、内陸部に住んでいて、大学ではなく職業訓練学校などを卒業していてほとんど海外旅行の経験はなく、家族のうち何人かは軍関係者の人たちである。

またイギリスでも、先日のEU離脱を問う国民投票ではロンドンと一部の地方都市をのぞくと北部の田舎は全て離脱派であった。日本のメディアでシンボライズされていた低所得のブルーカラー層で構成される町である。

 

都市部に住む一部のエリート層ではなく、その国を構成するマジョリティの人たちと交流でき、そこでの暮らしを知ることはそれなりに興味深く、観光や出張でその国を訪れるのとは全く違った体験ができる

 

しかしその反面、リアルな人々の多くは行ったこともない遠く離れた外国についての知識や関心は低いし、外国人の話す現地語にも慣れていない。そのため都会よりも現地の人々とのコミュニケーションで問題が出てくる場面は多い

 

 

 田舎の暮らし、都会の暮らし、それぞれ良し悪しがあるものの、私のようにまわりに流されやすい人にとっては、自分のペースを見つけて暮らすのは田舎の方がしやすいのかもしれないと思う。

田舎だから時間がゆっくり流れ、、というわけでは必ずしもない。The days are long, but the years are short である。