Unce Upon a Time...

イギリスの田舎暮らし、バイリンガル育児、イギリス英語についてお届けします

海外田舎暮らし 人前で外国語を話すことについて

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今日は海外田舎暮らしをするうえで避けて通れない、人前で外国語を話すことについて書いてみたいと思います。

(写真は3歳ごろのときよく行っていたアウトドアのプレイグループです)
 

 

私たち一家が住んでいる町はイギリスの中でもかなり田舎です。大きな大学があるため、規模のわりには外国人も一定数住んでいます。でもその多くは留学生なので、私の普段の行動範囲(大型スーパー、学校、公園など)ではほとんど見かけません。

たまに同じアジア系の人を見かけると「おぉアジア人!」とそれだけでちょっと嬉しくなってしまう感じです。一番よく見かける外国人はアラブ系、続いてインド系。アフリカ系の人はアジア人以上に少ないです。

 

と、こんな感じの田舎町で大きな声で外国語(日本語)を話していると当然目立つわけです。幸いなことに、今のところ日本語を話していて露骨に何か嫌なことを言われたことはありません。でもやっぱり気にしてしまうこともあります。

 

目次

 

公園やプレイグループ(児童館)などで

わが家のポリシーは「お家では日本語」「外では英語」です。

とは言え、外にいるときも、例えば私と娘が2人で会話するときは基本的に日本語です。娘とのコミュニケーションは母語でする方がより良い親子関係を築けるだろうと思っての行動なのですが、実際はいつもそういうわけにはいかないこともあります。

 

例えば、公園やプレイグループ(児童館)に娘を連れて行ったとします。娘がひとりで遊んでいれば日本語で話し続けていても特に問題はないのです。

でも、他の子とからみだすようになると、子供間のやりとりを親がサポートする場面が多く出てきます

2,3歳の子同士なら親が横から

 

「そのおもちゃ、横のお友達が貸して欲しそうにしてるよ。」

「順番だからちょっと待ってようね」

「お友達はそろそろ帰るみたいだから、バイバイ言う?」

 

などのような声掛けをすると思います。そういった子供への声掛けを通じて親同士のコミュニケーション(すみません~、いえいえ~、のような)にもつながると思います。これが面倒かどうかはここではとりあえず置いときます。 

 

そしてトラブル発生時(おもちゃの取り合い、押しちゃって相手の子供を転ばせた等)には、

 

「そんな風にお友達が使ってるの取っちゃったらダメだよ」

「お友達泣いてるよ、ごめんねしよう」

 

などと言って子供を促す必要もあります。

 

こういうことを全部外国語でやってしまうと、その場にいる子供の親は私が子供に何を話しているかわからないので、居心地の悪い沈黙になったり、悪い場合は不信感のようなものを持たれてしまうこともあります。

 

これはこちらが被害者の場合が特に難しいです。例えば自分の子供が他の子供に押されて転んで泣いてる場合、押した子の親が近くにいたりすると、

 

「あらら、痛かったね。でもお友達わざとじゃないからね。」

 

と言って押した子をフォローしつつなぐさめると思います。そして相手の子の親が近寄ってきて、「ごめんね、大丈夫?」と子供の代わりにあやまったりするパターンが多いと思います。

でもちらちら加害者の子供の方を見ながら謎の外国語で話していると

 

「もしかしてウチの子の悪口言われてる?」

 

と変に疑心暗鬼になってしまう親もいます。

日本でもママ友トラブルなどはあるようですが、そこに外国語がからむとさらにいろいろ厄介なのです。

 

お出かけ中など公共の場で

イギリス人は一般的に子連れにとても優しいです。小さい子を連れて歩いていたりお店に入ったりすると必ずと言っていいほど誰かが声をかけてくれます。

このことについては以前記事に書きました。

 

kamemari.hatenablog.com

 

カフェで話しかけられたりするとそこから会話が始まることもあります。

子供がまだあまり話せないうちは、大人同士は英語で会話し、私が子供に話すときだけ日本語に切り替えてもあまり不自然ではありませんでした。

 

でも大きくなってきて娘も会話に参加するようになると、私と娘だけが日本語で話すと、どうしてもそこだけ会話が切り取られてしまうのです。下手したら内緒話をしているような感じにもなりえます。

 

さらに電車やバスの中でも気を使うこともあります。イギリスの公共交通機関は日本ほどしーんとはしてなくてざわざわしてはいるのですが、時間帯によっては静かなときもあります。

そんな時に、大きな声で外国語が聞こえてきたら当然かなり目立ちます。ここはロンドンのように同じイギリスでもいろんな国の言葉が自然と耳に入るような都会とは違います。外国語を話しているだけで、一気に「英語の通じない謎の外国人」になってしまうのです。 

 

今のところの解決策

そういうわけで、私は娘と二人で公共の場にいるときは、

 

英語もわかるんだけど、あえて子供には母語で話してるんです!

 

 というメッセージをできるだけ出すようにしています。具体的には、

 

1.同じことを二回言う。まず日本語で娘に伝えたいことを言って、そのうえで何を言ってるかを周りの人にもわかってもらえるように英語で言う。

2.公共交通機関の中では会話が大声にならないようにしつつも、娘との会話は日本語をキープする。そして他の乗客と目があえば、こちらから何かひとこと(英語で)言う

 

ということをしています。

バスや電車の中などでは大声で話さない限りは変な目では見られません。でも、娘がはしゃいで大きな声で何か言っていたら、好奇心でじっと見てくる人はいます。

そんな時に「今日はどこどこに行くからはしゃいじゃって、、苦笑」のような感じでちょっとひとこと言うだけで、「英語の通じない謎の外国人」のレッテルを貼られずにコミュニティの一員として扱ってもらえます。(そして大抵のイギリス人は何かウィットにとんだ言葉を返してくれるのでいつもすごいなと思います。)

 

バイリンガル教育の研究では、社会と家庭で話す言葉が違う場合、家庭で話されている言葉が社会でどう認識されているかが、その言葉を子供が習得するレベルに影響することがわかっています。

例えば、社会でハイステータスな言葉(日本だと英語のように、現地の人でも話したいと思うような言葉)だと子供も自然とその言葉を話すことに自信を持つので、バイリンガルになりやすいそうです。逆に、社会で疎んじられているような言葉だったり、親がその言葉を恥じる様子を子供が感じてしまうと、その言葉を話そうとしなくなってしまうそうです。(ヨーロッパには歴史的や政治的な背景で、特定の言葉に嫌悪感を持つ人が残念ながら一定層います。)

 

日本語はイギリスではハイステータスな言葉とはいえません。

イギリスの学校では外国語としてフランス語を学習します。娘の通う小学校でも、お遊び程度ですがフランス語の時間があります。クラスにいるお母さんがアフリカ系の男の子はフランス語が話せるそうで、娘は「〇〇はフランス語で先生と話してたよ!」と尊敬の目で話していました。

もうちょっと大きくなって、娘のまわりで日本のアニメとかが流行って「日本語が話せるのはかっこいい!」というようにお友達が思ってくれるといいなぁと思っています。

 

しかし今のところは、このイギリスの片田舎で育つ娘にとって、日本語を話せるというプライドを育てるのは私たち夫婦の日本語に対する態度にかかっています。娘は今はお友達の前でも平気で私に日本語で話しますが、いつかそれをちょっと恥ずかしく感じたりする日もくるのかな、、と思ったりもします。

でも、日本語を忘れると大好きなおじいちゃんとおばあちゃんとお話ができなくなるという危機感もあり、今のところ日本語についてはとてもポジティブな態度なので嬉しく思っています。

 

ロンドンなどの人種が多様な街に住んでいたら、きっとこんなこと気にしなくてもいいんだろうなぁ、 都会はいいなぁ、、とつい思ってしまいますが、田舎には田舎ならではの良さもあることを忘れずに田舎暮らしを楽しみたいと思います。

 

 

kamemari.hatenablog.com

 

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