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イギリスの田舎で急病になったらどうする?覚えておきたい電話番号

doctor holding red stethoscope

慣れない海外で病気になると、どこに連絡すればいいのだろうと焦ってしまいますよね。しかもそれが田舎だったら、情報も少なく、どうしていいかわからず余計に不安になるかもしれません。

ロンドンなど都会には、walk-in centre と呼ばれる予約なしで飛び込める救急センターがあるのですが、残念ながら私の住んでいるような田舎町にはありません。

今回は、イギリスの田舎で急病になったときの連絡先についてご紹介したいと思います。

この記事はイギリス滞在が長期(6カ月以上)の方向けに書いています。短期滞在の方は渡航前に海外旅行保険等に加入しておく必要があります。

 

目次:

 

イギリスの医療制度

イギリスでは、国が運営するNHS (National Healthcare Service)と呼ばれるサービスが医療の基礎となっています。

外国人でも、労働ビザや学生ビザなどで合法的に6カ月以上の期間滞在する場合は、NHSのサービスを受けることができます。

ビザ申請時に一定の健康保険料を納めることで、滞在中は無料で医療サービスを受けることができます。(健康保険料を支払っているので正確には「無料」ではないのですが、医療機関を受診した際や治療を受けた際には支払いは発生しません。)

日本とは違い、イギリスではまずGP (General Practioner)と呼ばれる地域の家族医に登録することになります。専門医にかかるにはGPからのレファレンスが必要です。

GPに登録するとNHS番号が発行され、NHSで受けた医療に関する情報の全てがシステムに記録されます。イギリスで医療サービスを受けるためにはNHS番号が必須です。引っ越し後、なるべく早く最寄りのGPへ登録に行くことをおすすめします。

国が運営するNHSとは別に、プライベート(Private)と呼ばれる自己負担で医療サービスを受ける制度もあります。ロンドンにある日系の病院などはプライベート医療になります。自由診療のため、医療費は高額になることが多いですが、NHSよりサービスの質は良いといわれています。

 

一刻を争う急病の際の連絡先は999

yellow car toy on white surface

日本で119番にあたる番号は、イギリスでは999です。

意識がない場合や心臓発作、出血が止まらない場合や深刻なアレルギー反応が出ているときには、すぐに999に電話をしましょう。

 

999に電話したときにまず聞かれることは、次の3つです。

- 場所(郵便番号)

- 今かけている電話の電話番号

- 何が起こったか

落ち着いて正確な情報を伝えることが必要です。

オペレーターが救急車の手配が必要かどうかを判断し、救急車の必要はないと判断された場合でも、地域のメディカルユニットなどが来てくれることもあります。

 

電話で聞かれる可能性のある質問は、他にも次のようなものがあります。

- 患者の年齢、性別、病歴。

- 患者は意識があるか。息をしているか。

- ひどい出血があるか。強い胸の痛みがあるか。

- (ケガの場合は)どのようにして起こったか。

 

声が出ない場合などは、携帯電話から999へテキストメッセージを送ることもできますが、事前登録が必要です。テロや犯罪に巻き込まれたときに、音を出さずに警察に通報することもできます。

参考: Contact 999 by SMS text - Guarding UK

 

緊急かどうかわからない際の連絡は111

小さな子供がいる家庭などでは、子供の体調が悪いものの、自己判断では深刻さがわからず999に電話するのは躊躇してしまう、ということがよくあると思います。

そんなときには111に電話しましょう。111はNHSの医療サービスの一部で、電話で医療プロフェッショナルのアドバイスを受けることができます。

症状や病歴などを伝えると、専門のスタッフから次のような情報をもらうことができます。

- 最寄りの医療サービス

- ナース、救急歯科、薬局、GPへの連絡

- 必要であれば診察の予約

- 必要な薬がどこで手に入るか

- 自己処置の方法

111の電話ラインは24時間オープンしているので、インターネットで自分で検索して情報を得ようとするよりも、電話して専門のスタッフの意見を聞く方がずっと確実です。

緊急性があると111のスタッフが判断した場合は、最寄りの開いている病院の予約をとってくれることもポイントです。

さらに、111のサービスでは日本語の通訳をリクエストすることができます。医療関係の用語は専門的なものも多いので、通訳をつけることができるのはとても心強いですね。

 

A&E(救急外来)に直接行くことはあまりおすすめできない理由

white room interior

 ワンポイント【イギリス英語】

TVドラマが流行ったので、救急外来を意味する英単語のER(Emergency Room)はすっかりおなじみになりました。が、ERはアメリカ英語なので、イギリスでは使われていません。イギリスで救急外来のことは、A&E (Accident and Emergency) と呼ばれます。

 イギリスのNHSによる医療サービスは、慢性的な財政難と人手不足の問題をかかえています。

 給与などの労働条件も悪化する一方なため、優秀な医療従事者は海外へ流れていってしまい、イギリス国内の病院で働ているドクターやナースは外国人率が非常に高くなっています。

資金と人材が足りないまま無理やり運営されていることから、NHSのサービスの質は決して良いとはいえないのが現状です。ただほど怖いものはない、の典型です。

その様子がよくわかるのが残念ながら救急医療です。

イギリス政府が定めている、「患者がA&Eに行ってから診療してもらえるまでの待ち時間」の目標はなんと4時間以内です。つまりA&Eに行くときは、4時間待つ覚悟で行くことになります。

去年の政府発表の統計によれば、A&Eに駆け込んだ人のうち、4時間以内に診てもらえた人は100%ではありませんでした。2割程度の人は4時間以上待たされています。

赤ちゃんであれば多少は順番を考慮してもらえるようですが、スタッフの判断によっては子供でも容赦なく3-4時間待たされるようです。夜中に子連れで救急に行って、そこから数時間待つのは非常に苦痛な時間になってしまいます。

 

そんな理由から、イギリスではA&Eに駆け込むことはおすすめできません。

私のおすすめは上記で説明した111に電話をして、111のスタッフを通じて病院のアポを取ってもらう方法です。(もちろん、大至急ヘルプが必要な場合は999です。)

そしてこれはGPでの診療の際もそうなのですが、111に電話する際は、多少オーバーに説明した方がいいと思います。そうしないと動いてもらえない可能性があります。

私自身も一度、この方法で高熱が続いていた娘の診察の予約を夜間に取ってもらった経験があります。高熱の赤ちゃんを抱っこしたままA&Eで3時間半待ったという友人もいるので、A&Eに行く前にまずは111に電話するメリットは大きいと思います。