研究者とその配偶者

先日ヤフーニュースを見ていたらこんな記事がでていた。

headlines.yahoo.co.jp

 

学者・博士が男児の将来の夢のランキングで2位に入ったらしい。このニュースを見て私は「男児だけで女児のランキングには入らないんだなぁ」「そりゃやっぱロールモデルがないと将来の夢として具現化はしないよなぁ」とひとりでつぶやいていた。

男性優位なアカデミア

日本はノーベル賞受賞者数としては世界上位だが女性の受賞者はまだ一人もいない。それどころか女性研究者の割合も他の先進国に比べると非常に少ない。逆にノーベル賞受賞者がが出るたびにメディアが競うようにしてカバーするのは受賞者の妻の「内助の功」だ。

このトレンドが続く限り、夫が研究者で妻が専業主婦という構図は残念ながらあまり今後も変化がないような気がする。まわりを見渡してみると、私たちも一例だが①研究者と専業主婦 ②研究者同士 ③研究者と民間勤務 *1 の順で多いように思う。

実際にデータで見てみるとどうなのか気になったので探してみたら、内閣府の平成17年版男女共同参画白書|内閣府男女共同参画局にこのような記述があった。

また,男性研究者の配偶者は無職の割合が多いが,女性研究者の配偶者の大半が働いている。女性研究者の配偶者の業種は大学教員・研究者など同業者である割合が高い。

 

やっぱり。。。研究者の夫をもつ女性には専業主婦が多いのか。ちなみに私のまわりには女性研究者と主夫というカップルも数組いる。性別が入れ替わっても研究者と家事育児を専業で行う配偶者というパターンは同じだ。

研究者の配偶者に主婦が多い理由

なぜ研究者の配偶者は主婦(主夫)が多いのか。大きな理由は2つ考えられる。

まず第一に、引越しが多い。特に若手の場合は、ポスドクや任期付きの職が多いので、数年ごとに大学を移ることはよくある。また大学はどこにでもあるのでとんでもない田舎、しかも海外、ということもありえる。

引越しが多いと当然ながらついて行く配偶者はなかなか仕事にコミットすることができない。ある程度コミットメントが必要な仕事を続けようとすると別居という選択をしなくてはならなくなる。

次に、研究職についている人は労働時間が長い。そしてオン/オフがない。私の夫は基本的に起きてる間は(もしかしたら寝てる間も)研究のことを考えている。学期中は授業準備やアドミンの雑務も加わる。たまに家族で旅行するときにもPCを持って行こうか持って行かないかでさんざん悩み、直前に申し訳なさそうに「やっぱり持って行ってもいい?」と聞いてくる。

こんな状態なので、家事育児の分担なんて夢のまた夢だ。今私がフルタイムで仕事に復帰したらおそらく我が家は家庭崩壊すると思う。

研究者の配偶者に可能なキャリアパス

では研究者の配偶者は主婦(主夫)以外の道はないのか。そんなことはないと思う。しかし、一般的な会社員はちょっときびしいかもしれない。それよりも、クリエイティブ産業では一般的になりつつある在宅勤務やノマドワークのように、働く場所や時間にとらわれないワークスタイルを目指すべきだ。

私自身も最近その方向でキャリアシフトを検討し始めた。私の場合はこれまでのキャリアと同じような仕事を探そうとすると夫とは別居する以外の選択肢はない。しかしそこまでしてあの仕事をまたしたいかというと決してそうではないことに気付いたので、在宅勤務が可能でかつ長く続けられる仕事にキャリアチェンジすることにした。娘が3歳になったらナーサリーに行くので育児とのバランスをとりながら少しずつ仕事を始めてみたいと思っている。

最後に、去年ノーベル医学・生理学賞を受賞された大隅良典さんの奥様である大隅萬里子さん(ご自身も元研究者)のインタビューでの言葉が印象に残っているので引用しておく。

Q 女性で研究者を目指す若者にメッセージを。

(萬里子さん)
思う存分やれるときにやってほしいなと思うんですね。私は若気の至りで早めに結婚してしまいましたので、勉強できるっていうのは、できる時代があると思うんですね。きちんと勉強していれば、その後の人生は違ったのではないかと思うんですが。私は勉強することを放棄してしまったので、チャンスがあったら若い女性の方にはぜひきちんと仕事をして、できれば自分の幸せも実らせていっていただきたいと思います。見ていますと、すごくそういう女性が増えているので、期待しております。

ノーベル賞 大隅さん夫妻 会見全文 | NHK「かぶん」ブログ:NHK

 

もしこれから研究者の人と結婚する予定の人でこの記事を読んでいる人がいたら、ぜひどこからでも仕事ができるジョブスキルを身につけましょう!(あぁ、10年前の私に教えてあげたい。。。)

 

 

 

 

*1: ②の研究者同士のカップルは属にいうtwo-body problemが壁となって2人ともが満足の行くキャリアを歩めているケースは少ない。アカデミアで夫婦2人そろって同じ大学でポジションを手に入れることはものすごく難しいため(しかも研究者夫婦の場合は学生時代のクラスメートなことが多いので分野も就職のタイミングも同じなのでさらに難しい)、一方(多くは女性)が非常勤やティーチングよりのポジションをとることで妥協するパターンをよく見る。または、別居して遠く離れた大学でお互いが正規のポジションで働き、いつかは同じ大学もしくは同じ地域の大学へ移ることを目指す。が、この場合は長く続く別居生活のせいで関係が破たんしてしまったケースもいくつか知っている。