Unce Upon a Time...

イギリスの田舎暮らし、バイリンガル育児、イギリス英語についてお届けします

バイリンガル育成過程 6~7歳ごろはふんばりどころか 

macro photography of blue wooden door painted with number 6

 

まず、最初に言わせてください。

 

ハーフターム後半戦に入りました。おかーさんはもうぐったりです。。はぁ(ため息)

 

ハーフターム(Half term、half term holidayと呼ぶこともあります)とは、日本語に訳せば「中休み」というような、イギリスの学校にある学期中に1度あるお休みです。春休みや夏休みなどの長期休暇に加えて、毎学期の真ん中あたりに1週間の休みがあるんです。

 

いやほんと、勘弁してもらいたい。。。両親ともフルタイムのお家は毎回の預け先の確保が大変そうです。

 

イギリスの学校のお休みの多さについては過去記事をご参照ください↓

 

kamemari.hatenablog.com

 

私にはこちらで仲良くしている日本人ママたちが何人かいます。

 

少し離れてたところに住んでいるので普段はなかなか会えず、また学校が長期休暇のときもそれぞれ旅行に行ったり日本に帰ったりするので会いにくいのです。

 

そこで、ハーフタームには集中的に日本語を話すお友達と会うようにしています

娘の日本語の強化にもなるし、私も日本語でおしゃべりができてストレス解消にもなり一石二鳥です♪

 

久々に会うと、精神面でも言語面でも、子供たちの成長をぐっと感じることになります。でも今回は、バイリンガル育成の難しさについても改めて考えさせられることになりました。

また、お友達の様子を見ていて、バイリンガル育児に取り組む親にとって、6、7歳ごろは難しい時期なのかもしれないな、と思いました。

 

 

どっちもネイティブじゃない?

photography of orange tomatoes and brown potatoes

 

バイリンガル育成の面からみると、言語形成期は次のようにわけられます。

 

1.0~1歳:ゆりかご時代(親からの一方的な話しかけの時代)

2.2~4歳:子ども部屋時代(自分から積極的に言葉を使いだす時代)

3.4~6歳:遊び友達時代(社会性が発達して子供同士で遊ぶようになる時代)

4.6歳~9歳半:学校友達時代 前半(親よりも学校の友達からの影響が大きくなる時代)

5.9歳半~15歳:学校友達時代 後半(抽象的な内容も理解し、文化の差の比較もできるようになる時代)

 

               参考:中島和子・著『バイリンガル教育の方法』

 

もうすぐ5歳になる娘は、3の「遊び友達時代」のど真ん中にいることになります。

今回のハーフターム中には、4の「学校友達時代前半」期にいるお友達に何人か会いました。

 

海外で生まれ育つ子供が、 家庭では完全に母語で過ごしている場合に、第二言語(現地語)のどのような習得過程をたどるかはケースバイケースで一概には言えないようです。それでも、4,5歳の時点では現地語はまだまだ弱く、8,9歳ごろでやっと追いつく、という体験談をよく聞きます。

現地語が追い付いた時点で、母語がどうなっているかも、環境や本人の気質などでさまざまなケースがあるようです。

 

今回会ったお友達は6,7歳だったのですが、子供が6,7歳ごろの時期というと、もちろん子供にとって差がありますが、急に話し方がはっきりして、言葉を使って自己主張をするようになる頃だと思います。

 

しかしバイリンガル環境で育つ子供は、第二言語がネイティブレベルになるのは8~9歳なので、6,7歳の時点では大人が聞くと「幼い」発音をしていたり、ブロークンな文法を使って話しています。

一方で、母語(日本語)のレベルも、いくら家庭では100%日本語で過ごしていても、日本で普通に育つ子供たちと同じペースで日本語の語彙やコミュニケーション能力が伸びていくわけではありません。

 

その結果、「うちの子供はどっちの言葉もネイティブレベルではない」「バイリンガルどころかダブルリミテッドなのでは」、と心配になってしまうようです。

(6、7歳になる前に、片方の言葉の伸びが止まってしまい、どちらかの言葉(現地語が多い)が圧倒的に優位な場合はこの限りではないです。 )

 

6歳以降は、言語形成期的には「学校友達時代」に入り、言語面でのお友達からの影響が一気に大きくなる時期です。バイリンガル育児に取り組む親にとっては、押し寄せてくる現地語の波のなかで母語の習得もサポートしなければ、とただでさえプレッシャーが大きくなる時期でもあります。

そんなときに、追い打ちをかけるように、両言語とも年齢にあった発達段階にないのではないかと、バイリンガル育児に対する不安要素が大きくなってしまうようです。

 

 

モノリンガルの立場で見ない

shallow focus photography of girl sitting on chair drawing on her paper on top of the table

 

このように6,7歳ごろというのは、バイリンガル育児に取り組む親にとっては踏ん張りどころの言語形成期といえそうです。

 

もうすぐ5歳の娘がいる私は、これから来るであろうこのチャレンジングな時期にどう備えるかをちょっと考えてみました。

 

まず大事なことは、モノリンガルの立場で見ないということだと思っています。これはバイリンガル育児の本でもよく言われていることです。

 

自分の子供には、つい自分の母語が話せて当たり前と思ってしまいます。でもバイリンガル環境で育つ子供たちにとっては全然当たりまえではないんですよね。

カジュアルな日常会話レベルの習得だけを目指すなら別ですが(それも子供が拒否することも聞きます)、場面にあった話し方や読み書きまでマスターするには相当な努力がいります。

 

バイリンガルの子供特有の言語の発達段階は、モノリンガルのそれとは異なります。

例えば、バイリンガルの子供たちによく見られる話し方に、文章の途中で二つの言語をいったりきたりしながら話すというものがあります。言語の「ちゃんぽん」です。言語学的にはコード・スイッチング(code-switching)と呼ばれます。

 

昔は二つの言語を混ぜて話すのはダブル・リミテッドの始まりだなどといわれ、批判の対象となっていました。でも、現在の研究では多くのコード・スイッチングは、バイリンガルの子供にとって自然でポジティブな言語発達段階であることがわかっています。

それどころか、コード・スイッチングをするためには、両言語がかなりのレベルで発達している必要があることもわかっています。

※母語を話しながら、ところどころで第二言語から言葉を借りながら話すのはまた別で、これは言葉の借用 (Borrowing) と呼ばれます。若い人は知らないのかもしれませんが、ルー大柴みたいな感じですね。これは第二言語が発達している必要はないので、バイリンガルでなくてもできます。

 

コード・スイッチングはモノリンガルにはとても不自然な話し方に聞こえます。うちの娘もしますが、正直あまり気持ちよくなかったりします。 

「え、日本語が出てこなくなっちゃった?」と不安になることもあります。

でも、自分の子供だとつい忘れがちになってしまうのですが、二つ以上の言語を学びながら育つ子供に、自分が通った道を押し付けないようにしないといけないなと思います。

 

ちなみにですが、子供が第二言語を習得するには、一般的に約5,000時間程度その言語に触れる必要があるといわれています。

親の駐在などで、子供が海外へ引っ越したあと現地校へ通い、家では完全に母語で過ごす場合、現地の言語への接触時間が5000時間になるのはだいたい5、6 年程度かかることが研究でわかっています。

 

毎日現地校に行っても5,6年はかかるというのは意外に思う方も多いのではないでしょうか3年程度の駐在では、子供が現地語をネイティブレベルまで習得するのは難しいといえます。(もちろんコミュニケーションには困らないレベルにはなると思いますが)

 

 

母語も第二言語も、言語の習得には多くの時間と努力が必要です。

このことを忘れないようにして、長期目線で子供の言葉の発達を見守りたいなと思います。 

 

とはいえ、言うは易く行うは難しだと思うので、忘れないようにブログに書きました :)