しつこく続く【イギリス英語】シリーズ。今回は食べもの編です。
日本でいうところの「フライドポテト」を、アメリカでは (french) fries、イギリスでは chips (Fish and chipsでおなじみ)という、ということは英語ネタに敏感な方ならご存知かもしれません。
でも、他にもイギリス英語とアメリカ英語で呼び名が違う食べものはたくさんあります。「え、こういうの?」と私がスーパーやレストランで驚いた言葉をご紹介します。
※写真はイースターに食べるhot cross bun. レーズンなどのドライフルーツがたっぷりでおいしいです。
目次
1.Courgette
Courgette とはイギリス英語でズッキーニのことです。ズッキーニ ( zucchini )はアメリカ英語なんですね。Courgette は元はフランス語、zucchini はイタリア語です。
ズッキーニといえば、日本ではパスタに入れたりグリルしたりして食べるのが一般的でしょうか。イギリスやアメリカでは、すりおろしたズッキーニを小麦粉ベースの生地に混ぜて焼く、zucchini cake (courgette cake) や zucchini bread (courgette bread) をよく見かけます。
ズッキーニをケーキに?!と驚かれるかもしれませんが、要ははキャロットケーキやパンプキンケーキのイメージです。ズッキーニの味はほぼ感じず、ケーキをしっとりさせてくれる役割なんだと思います。すいません、ベイキング系は苦手なもので憶測です。
2.Aubergine
Aubergine は「なす」です。この言葉もフランス語から来ています。イギリス英語にはフランス語から入ってきた外来語が多くあります。
アメリカ英語では、なすは eggplant ですね。
アメリカのスーパーでは、日本でいうところの米ナスが売られていて、ときどきChinese eggplant という名前で日本で見かけるような細長いナスが売られていました。
イギリスのスーパーで売られているナスは、米ナスのような丸みを帯びたかたちですが、アメリカのものより小ぶりです。
3.Digestive biscuits
Digestとは「(胃のなかで食べものを)消化する」という意味ですね。Digestive system は消化器官という意味です。
digestive biscuit は、その名の通り、消化を助けるビスケットという意味です。19世紀の前半に医師たちによって作り出されたお菓子だそうです。
が、今売られているものは、名前はそのまま残っていますが、普通の甘いグラハムビスケットです。でもイギリス人にとって、ビスケットといえばダイジェスティブ、というぐらいポピュラーです。スーパーのビスケットコーナーにはいろんなメーカーのダイジェスティブビスケットが所せましと並んでいます。
4.Rapeseed oil
日本のスナック菓子や菓子パンなどには、原材料をみると「植物油脂」が入っていることが多いと思います。イギリスのプロセスフード(加工食品)の原材料をみると、"Rapeseed oil" という表記をよく見かけます。
Rapseedとは菜種のことです。Rapeseed oilは菜種油のことなんですね。アメリカではCanola oil と呼ばれます。日本語になっているキャノーラ油ですね。
日本の「植物油脂」はキャノーラ油、パーム油、大豆油などがメインなようです。私は日本でもイギリスでも、これらの清製油は取り過ぎないように気をつけています。
5.Tinned food
イギリスでは、缶詰のことを tinned food といいます。例えば、トマトの缶詰は tinned tomatoes です。アメリカ英語では、缶は can ですよね。缶詰は canned food です。
と、ここまで書いて、あれっと思って調べたのですが、デジタル大辞泉によると、「缶」の語源は英語の can またはオランダ語の kan で、「缶」という字は当て字だそうです。
「缶」という漢字があるからか、外来語だったとは想像できませんでした。これって有名な話なんでしょうか。知らなかったのは私だけ?
6.Profiterole
Profitという言葉があたまについているので、この言葉だけ見ると金融用語か何かと思ってしまいますが、実はシュークリームのことです。
見た目はまさにシュークリームなんですが、イギリスの profiterole のなかに入っているクリームはほとんど甘くないんです。甘いもの大好きなイギリス人が、甘くないデザートで満足するわけがありません。
で、どうやって食べるかというと、上からチョコレートソースやカラメルソースをかけていただきます。
こんな感じです。
Profiteroles recipe | BBC Good Food
ちなみに、アメリカ英語ではシュークリームは cream puff といいます。
なんで日本語は「シュークリーム」なんだろう、と思っていたら、Wikipediaにこんな記載を発見。
フランス語のシュ(chou [ʃu]、複数形はchouxで発音は同じ)と英語のクリーム(cream)からなる和製外来語。
フランス語では「chou à la crème」(シュー・ア・ラ・クレーム)。「シュー」とはフランス語でキャベツ、ハボタン、ハクサイなどの総称だが、ここではキャベツを意味し、丸く絞り出して焼いた生地を結球したキャベツに見立てて「シュー」と呼ぶ。
「シュー」はフランス語でキャベツなんですね!
ということは、シュークリームはキャベツクリーム?シュー生地はキャベツ生地??
先日の記事で、イギリス英語ではデザートは pudding だということを書きました(dessert はアメリカ英語)。
日本ではデザートをスイーツということがありますが、これは和製英語だと思われます。イギリスでは、sweets や sweeties といえばキャンディ(飴とかグミとか)の意味になります。
以上、イギリス英語で特徴的な食べもの関連の言葉でした。
食べものの言葉で、イギリス英語とアメリカ英語で違うものは他にもたくさんあります。それぞれの言葉に歴史的な背景がありそうですね。