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視点を変えてお話を読む 「赤ずきんちゃん」のお話をオオカミにさせたら

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今日は最近娘と読んだおもしろい本のご紹介です。

 

娘は最近はひとりで本を読むことも増えました。でもやっぱり親と子がいっしょに本を読む「読み聞かせ」は親子の大事なコミュニケーションなので時間を見つけてずっと続けています。

 

 目次: 

 

読み聞かせから得られるもの

読み聞かせをするときは、ただ本を読むだけではなく、そこから何かが得られるように心がけています

新しい本を読むときは、まずは一通り読みます。そのあとに(娘は自作のお話をよく披露してくれるので)、

 

「この場面、〇〇(娘の名前)だったらどんな風にする?」

 

お話のアレンジをしてもらうこともあります。

他にも、

 

「この子(主人公)、なんでこんなことしたんだろうね」

 

主人公の心情を娘の言葉で説明してもらうこともあります。

 

すると意外とストーリーを理解していないことがわかることもあります。また、ストーリー自体は理解していても、主人公の心情をあらわす言葉を知らなかったり(もしくは英語でしか言葉が出てこなかったり、、、)することもあるので、語彙を増やすいい機会になります。

 

視点を変えてお話を読む

こんな風に親子読書タイムをしている私たちなのですが、最近読み聞かせにピッタリな本をひとつ見つけました。

皆が知っている「赤ずきんちゃん」のお話を、オオカミの視点からみたお話です。

その名も The Wolf Story です。

 

www.amazon.co.uk

 

この本自体は英語なのですが、「視点を変えて物語を読む」ということは日本の小学校の国語の授業でもするようです。

 

わたしは娘に本の世界を通じて、「視点が変わると同じできごとでも人によって意見が違うこともある」ということを知ってもらいたいと思っています。

これは現実世界ではよくあることですが、大人になってもなかなか相手の気持ちになってみることって難しいです。(わたしと夫の夫婦喧嘩もたいていは相手の気持ちの理解不足によるものだったりします。。)

 

読み聞かせをするなかで、

「このとき、この子はどんな気持ちだったかなぁ」

などと娘と話をすることもあるのですが、これがなかなか難しくて。誘導はしたくないしなぁ、と思っていたところにこの本に出会いました。

 

pile of story books

 

The Wolf Story の内容

このThe Wolf Storyは、赤ずきんちゃんに出てくるオオカミが、「実はあの日は、、、」とオオカミの視点でなにが起こったかを語ってくれる本です。まさに私が娘としたかったアクティビティそのままです。

 

若干ネタばれになってしまいますが、このオオカミはやっぱり悪いオオカミで、自分は悪くなかったと言いたいがためにいろんなエピソードをでっちあげます

 

「おばあさんとぼくは昔からの知り合いで、一人暮らしのおばあさんのために身の回りのことをいつも手伝ってあげていた」

 

「その日はおばあさんがクローゼットから洋服を取り出そうとしてたから、手伝ってあげようとしたら、おばあさんが転んで頭を打って気を失ってしまったところに赤ずきんちゃんがやってきた」

 

「赤ずきんちゃんが、持ってきた甘いキャンディーを無理やりぼくの口に入れようとしたんだけど、キャンディーは歯に悪いからやめてほしくてベッドから飛び出した(それが飛びかかろうとしたいように見えたかもしれない)」

 

 

などなど。


これを読む子供たちは、このオオカミが言ってることが本当かどうか自分の頭で考えることが問われるわけです。学校の教材としても使われているようです。

ちなみに3匹のこぶたバージョンもあります。

 

学校に疑似裁判の授業がある?!

ちょっと調べてみておもしろいなと思ったのは、アメリカではこの話が陪審員のオリエンテーションに使われることもあるそうです。

また学校でも疑似裁判の授業(社会科の授業なんでしょうか)でこのお話は使われるようです。生徒を検察官グループ(赤ずきんちゃん側)と弁護人グループ(オオカミ側)と裁判官の3グループにわけて、誰が本当のことを言っているかについて議論してジャッジするというアクティビティです。

 

控訴社会のアメリカならではだなぁ、、、と、思っていたら、イギリスの小学校でもやるようです!しかもYear 1(1年生、5~6歳)の授業でやっていました。うちの子も来年やるのかなぁ。

 

stpetersrcprimary.org

※ここでは「3匹のこぶた」のオオカミがオオカミ視点でストーリーを語ったものが使われています。

 

 

誰かの話を聞いたときに、判断をくだす前に違った視点からも考えてみることを習慣にすることはとても大切だと思います。

特に、SNSなどで個人の意見が手軽に発信され、それが拡散される時代に生きる子供たちは、偏った見方の話を真実だと受け入れてしまうリスクがとても高いです。

 

ちなみにこのオオカミ視点でのお話を聞いた娘の最初の感想は、

 

「このオオカミはうそつきオオカミ!!(怒)」

 

でした(笑)

 

この本、日本語版が見つけられませんでした。(見つけた方はぜひ教えてください!)

3びきのこぶたをオオカミ視点で書いた The True Story of the Three Little Pigsはアマゾンでありました。

日本語版:

 
三びきのコブタのほんとうの話―A.ウルフ談 (大型絵本)

三びきのコブタのほんとうの話―A.ウルフ談 (大型絵本)

 

 

英語版:

 
The True Story of the Three Little Pigs (Viking Kestrel Picture Books)

The True Story of the Three Little Pigs (Viking Kestrel Picture Books)

 

 

レビューによると小学校高学年ぐらいまで楽しめるようです!

 

 

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