Unce Upon a Time...

イギリスの田舎暮らし、バイリンガル育児、イギリス英語についてお届けします

私たちがもうしばらく海外田舎暮らしを続ける理由

herd of sheep in field

 

私たちはある程度の年になったら日本に戻る予定だ。早くて5,6年後、遅くて15年後ぐらいを予定している。なぜ永住しないのか、そしてなぜまだ帰らないのかを自分の頭の中を整理するためにも書いてみる。

 

 

永住しない理由

私にはカナダに親戚がいる。戦後にカナダに渡りその後定住した人たちだ。その3世代目が私と同世代になり、子供のころから行き来があった。最初にカナダへ行ったのは私の大叔父さんにあたりもう亡くなっている。次の世代からは生まれもカナダなので日系とは言え日本語もつたないが、本人たちは「日本」にかなり強い精神的な結びつきを持っている。

大叔父さんは最後は日本に帰りたいと言い続けていたのだが結局帰って来れなかった。大叔父さんは20代後半か30代前半でカナダへ行ったので人生の半分以上をカナダで暮らしたことになるが、それでもやはり最後まで苦労はあったのだろうと思う。好きで移住したとは言え、文化の違う国に住むということはストレスも大きい。特にリタイア後はいろいろ考えるところがあったのだろうと思う。

私はまだ海外暮らしをして4年になるところだが、日本に帰るタイミングをうまく考えながら今後の人生設計しなくてはとすでに思っている(アカデミアで働く夫のせいで何事も計画が立てにくいのだが、いずれは帰るというところは夫婦で一致している)。国際結婚などで現地に何らかの結びつきがあるなら別なのだろうが、そうではない私たちにとって、リタイア後におそらく子供も独立しているであろう年齢になっても海外暮らしを続けようと思う積極的な理由はほとんどない。 

さらに、アメリカがトランプを選びイギリスがEU離脱を選択するこの時代である。よっぽどその国への思い入れがないとマイノリティとして一生暮らすのはきついと私は感じる。

 

いま海外にいる理由(まだ帰らない理由)

 日本に帰りたい理由はこのように精神的な部分がほとんどなのだが、一方で今海外にいる理由はいたってプラクティカルである。

1.夫の仕事

まず第一に夫の仕事のためである。彼の研究分野の性質上、今海外の大学で勤務するメリットはとても大きい。前にも書いたが、イギリスの大学の給与水準は高くない(それでも日本の大学よりはましだが)。しかし研究する上での環境(授業コマ数や研究者のネットワーク作りなど)を考えると今すぐ日本に帰ると失うものは大きい。アメリカの大学は全般的にイギリスや日本より給与水準は高いが、アメリカという国は稼げるときに稼いで老後住むところではない気がする。

先週来日したジム・ロジャースが自分が10歳の子供なら日本を出るというトークをして話題になっていたが、外国人が純粋に経済成長の視点だけで今の日本をみると残念ながらそういう判断になるのも仕方ない。私たちも今ここにいるのは経済的な理由があるからでそれがなくなれば出ていく。ある意味長いスパンでの季節労働者である。

2.娘の英語

次の理由は娘の英語である。海外(英語圏)でもうしばらく生活を続けることで自然なかたちで英語を習得できる環境を娘に与えることができる。英語とプログラミングは必要最低スキルとなるであろう時代を生きる娘にとって、英語が話せるということは娘がどんな職業につくにしても将来大きな強味になると思う。

私は日本で生まれたが、環境と努力でネイティブと間違えられるレベルの英語力を手に入れた。アメリカにいた頃は9割白人の中西部の田舎に住んでいたいたので、初めて会う人には西海岸出身のジャパニーズアメリカンだと間違われることも何度かあった。

しかし、私は英語に本腰を入れた年齢が遅かったので、このレベルになるまでにかなりの時間を投資した。それにもちろん今でもボキャブラリーの数や表現力では日々限界を感じているし、文章を読んで理解するスピードもネイティブに比べるとずっと遅い。簡単な文法をぽろっと間違えることもある。将来どこに住むにしても英語が無理なく話すことができれば、娘にとって可能性も大きく広がると思うので娘にはぜひ英語を習得してもらいたい。もちろん、こちらにいれば日本語習得のサポートをうまくしてあげなければならないのでいいことばかりというわけにはならない。でも少なくとも私たちが今ここに住んでいることは娘の英語の上達の近道になっていることは確かである。

 

3.Quality of Life(生活の質)

最後に、Quality of Lifeである。これは日本vs.海外というよりは都会vs.田舎の比較かもしれないが、働き盛りと子育てが重なるストレスフルな時期を日本(東京)で過ごす自信が正直あまりない。

やってみれば意外とどうにかなるのかもしれないが、一度こっちのゆるい生活に慣れてしまったこの身体にはきびしい気がする。最近では日本でもいろんな働き方をする人が出てきてはいるようだが、やはり一般的には勤務時間は長いし、通勤時間も長い。組織に属して働く場合は仕事に対して求められるコミットメントが強いので休みが取りづらい。

とは言え、子供が巣立ったあとに夫婦ふたりで老後を過ごすのは、都会でも田舎でも海外より日本の方がずっと楽しく暮らせると思う。海外へはたまに旅行で行き、帰ってくる家は日本にあるのが私たちにはあっていると思う。

また、何度か書いたが、イギリスでもアメリカでも他人が小さな子連れの人にほんとに優しい。うちの娘と同じような年頃の孫がいるようなおじいちゃんおばあちゃんだけでなく、老若男女問わず皆優しい。電車の中でもお店でも道端でも誰かが娘と私に声をかけてくれる。子育てでいっぱいいっぱいになっていた時はこのコミュニティに受け入れられた感に本当に救われた。日本では子連れはどこに行くにも肩身の狭い思いをすると聞くので、そういう面からも今日本に戻るのは得策ではないなと思う。

 

 海外暮らしをする間はできる限りそれをエンジョイして、でも同時に日本に帰るタイミングを見失わないようにしようと改めて思った2017年の始まりだった。

 

 

 

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