青信号とgreen light - 日本語と英語の色の違い

もうすぐ2歳になる娘はいま”色”ブームである。プレイマットや壁にかけてあるかざりを使って、「赤はどれかなー?」などと私が聞いて、娘が指をさして答えるゲームをえんえんとしている。また、こちらのプレイグループでよく歌う歌のなかに、"Tractor song"という歌がある。"Jumping up and down on the big red tractor..."で始まる歌なのだが、子供たちに色を選ばせて、redをblueにしたりgreenにしたりpinkにしたりして歌う。娘だけでなく子供たちはみなこの歌が大好きである。家や外出中のちょっとした場面でも「今日のデザートはイチゴだよ。イチゴは赤いね。」"Emily is wearing a pretty dress, isn't she. A pretty blue dress." (エミリーはかわいいお洋服きてるね。青いかわいいお洋服だね。) のように、会話の中に色をまぜて話している。娘はだいたいの基本的な色の名前を日本語と英語の両方で理解できるようになったのだが、最近になって英語と日本語では同じものに対して表現する色が違うことがあることに気がついた。

まず、信号である。日本語でいう「青信号」は英語ではgreen lightである。うちでは「家では日本語」「外では英語」をできるだけ徹底しているので、娘と私が2人でお散歩をするときは娘には英語で話しかけている。よって交差点を渡るときは、"We have to wait because the light is red now. We'll go when the light turns green." (今信号が赤だから待とうね。信号が緑になったら行こうね。)と言っている。しかし、夫も一緒のときは外でも日本語で話している。先日交差点で私が「あ、信号が青になったから渡れるね。」と言ったら、娘があれ?という顔をした。そうだよね、今までgreenと言っていたものをお母さんが青というと混乱するよね。。ネットで少し見てみると、明らかに緑色なのに青信号とよぶことについては日本で育児中のお母さんも悩むところではあるようだ。

日本語にはもともと緑を表す言葉がなかったことから、緑を青と表現する場面は他にもたくさんある。子供と話す中で出てくるのは青りんご/Green appleなどであろうか。また、日本語では青が指す範囲が広いことに対して、英語では赤の範囲が広い。例えば日本語でいう紫キャベツはred cabbage、ぶどうも緑のぶどう(マスカット)に対して普通のぶどうはred grapes である。また、娘が普段よく履いている靴は日本で買ったもので、よく他のお母さんたちからかわいいねと言われるのだが、日本語だとおそらく茶色の靴というところを、こちらでは"red shoes"と言われる。

言語学者の鈴木孝夫先生の有名なエピソードに、「アメリカでオレンジ色の車が来ると言われたからずっと待っていたのにいつまで経ってもこない。ふと気づいたらずっと前から止まっていた茶色い車がその車だった。」という話がある。私は鈴木孝夫先生のユーモラスでとてもわかりやすい文章が好きで、高校生や大学生の頃にいくつか鈴木先生の著書を読んだが、何度も読み返したのはこの本である。1973年出版の本だが、なぜ「お兄さん」「叔母さん」などの呼びかけは成り立つのに「妹ちゃん」は成り立たないかなど、普段当たり前に使っている日本語を非常に興味深い切り口で説明をしてくれる本である。言語間の単語の微妙な違い(「唇」という日本語と"lip"という英語がさす範囲の違いなど)もたくさん例を使って示してくれる。比較言語だけでなくことばに興味にある人全般ににとって必読書だと思う。

www.amazon.co.jp

 

話がそれたが、今のところ信号の色については、「あの色は緑なんだけど、日本語では青信号っていうんだよ。」と説明している。納得しているかどうかはいまいちわからないが、本人がもっと少し話せるようになってわからなければまた聞いてくると思うので、とりあえず今は日本語で話しているときは青、英語のときは緑、でいこうと思う。

ちなみに、白髪は英語ではwhite hairではなくgrey hair である。最近悲しいことに鏡を見るたびにチラホラ見え隠れする白髪が気になってしまうので、娘に日本語では白で英語ではグレーなんだよ、などと話さなければならない日もそう遠くない気がする。

 

 

 バイリンガル育児についての他の記事

 

kamemari.hatenablog.com

 

 

kamemari.hatenablog.com