Unce Upon a Time...

イギリスの田舎暮らし、バイリンガル育児、イギリス英語についてお届けします

家族のかたち

man, woman and child holding hands on seashore

 

先日プレイグループで知り合った中国人のママと話をする機会があった。

彼女は大学院でイギリスにきて以私来ずっとイギリス在住で、旦那さんはEU圏の国出身の外国人である。私の娘と同い年の子供がいる。つい最近まで彼女の両親が中国から来ていて、4ヶ月ほど滞在していた。

「食事の準備はお母さんが、掃除はお父さんがしてくれていたからすっかりそれに慣れちゃって帰ったあとが大変だったわ~」

と彼女は話していた。

私の感覚では親が遊びに来るのに4カ月は長すぎてお互い疲れるのではと思ってしまうが、どうやら中国人の感覚ではわりと普通なようである。夫の同僚にも数人中国人がいるが、親が長期で来ているという話はよく聞くそうである。

 

さらに彼女は、

「できれば夏ぐらいから私と子供だけで中国に半年ぐらい帰りたいんだけど夫がなかなかOKしてくれなくてねー」

と話していた。

これまた私の感覚では子連れで実家に帰省するのに半年は長すぎるだろうと思うのだが、中国では普通なのだろう。

 

家族のかたちはいろいろある

私の夫の同僚の中には、夫はイギリスで暮らしているものの、妻と子供は基本的に中国で妻の両親とともに暮らしているというパターンの家族も2組いる。妻子は年に数カ月だけイギリスに会いに来る。

さらには、妻と子供はいっさいイギリスに来ることなく、イギリスで働く夫が年に数度中国に帰るだけ、という家族もある。

中国には昔から存在する、「農村部から都市部への出稼ぎ文化」と、「結婚しても親との関係が強く子供の世話も祖父母が積極的に参加する文化」が、夫と妻(と子供)がバラバラに暮らすことへの抵抗を少なくするのだろう。

 

日本でも単身赴任制度は一般的であるし、海外駐在の際も会社側の資金の問題から家族が同行するパターンより単身赴任が最近は増えているとも聞く。

さらに、アカデミアでは学生時代に知り合い結婚するカップルが多いため、夫婦ともに大学教員であることが多い。それぞれが同じ大学でポストを得ることは非常に難しい。そのため、別居婚をしているカップルもたくさん存在する(two-body problemと呼ばれる)。

 

私たち夫婦の場合も、私がもやもや専業主婦をしているのは夫の勤務校があるこの町では私の就職が難しいからだ。例えば、私が都市部へ引っ越すなどすれば問題は解決する。保育園の問題があれば、私が実家へ娘と帰り、娘は親にみてもらいながら私が外で仕事をする、というパターンも考えられる。

 

私たちは「いっしょにいること」を選んだ

家族のかたちはそれぞれである。

ひとつの家庭でうまくいく形態が他の家庭でもうまくいくとは限らない。私たちの場合は、今のところ別居婚は考えていない。

今では古風な考え方だと言われてしまうのだろうが、私は家族はいっしょに暮らす方がよいと考えている。それで出てくる弊害があっても、メリットの方がデメリットを上回ると思う。

 

そのため出産の際も、里帰り出産はせずアメリカで産んだ。里帰り出産をすると産前産後の家事も親に助けてもらえるため、体力的には楽だったかもしれないが(そして日本の産院のレベルの高さはアメリカとはくらべものにならない)、それでも人生の一大イベントである妊娠・出産をパートナーである夫と一緒に経験できない、というのはどうしてもいやだった。

 

この「一緒に経験する」というのは私の中ですごく大事なことだ。

いいことも悪いことも家族は一緒に経験することでチームとしての連帯感が増し、より良い方向に向かえると思っている。

特にうちの夫の場合は想像力に乏しいところがあるので、自分もいっしょに経験していないと何事もいまいちわかってもらえず「ふーん、そうなんだね」で終わってしまう可能性がとても高い。

実際、私が夫と出会う前にしていた仕事の話などをすると、聞いているふりをしてスルーされることもある。夫と出会う前の私も私の一部には変わりないので、とても悲しいのであるが、無理やり理解してもらうわけにもいかないのであきらめることにした。

その分、現在進行形のイベントについてはお互いたくさん共有して夫婦円満を目指そうと思う。